Husqvarna党 と STIHL党

森づくり

いわずもがな、チェンソーのメーカーである。
林業現場でも最も使われている(たぶん)2大メーカーである。
だから、大きく大別すると林業現場人は「ハスクバーナ党」と「スチール党」に分かれる。

私は「ハスクバーナ党」である。

今は現場作業からほぼほぼリタイアしているので、最近はチェンソーを使うのは事務所の薪ストーブの薪を作る時くらいだ。
約20年間の現役時代のチェンソーの所有履歴は、ハスクバーナ社が346xp、346xpNE(2台)、339xp(2台)、スチール社がMS-020、MS-201C(2台)、ゼノア社(現ハスクバーナのゼノアブランド)GZ-4211EZ、G-2050Tの計10台である。

現役時代は、中型チェンソーと小型チェンソーの2台を携行して現場に行くことが多かったので、常に2台のチェンソーを現役機として整備していました。2年に1台くらいのペースで新しいチェンソーに更新していた感じです。

そんな私がはじめて買ったチェンソーはスチール社のMS-020でした。恩師である島﨑洋路先生のおすすめ機種でした。このチェンソーは35㏄の小型機ですが、プロ仕様なので40㏄クラスのチェンソーと遜色ないパワーがあり、何といいてっも軽量なので初心者にも扱いやすいし、それなりの仕事もこなせる優秀なチェンソーです。今でもMS-201シリーズとして販売されていますし、私も初代MS-020から2台の後継機MS-201Cへと乗り換えて小型チェンソーの部ではこのスチールが長年の相棒となってくれていました。

その次に買ったチェンソーがHusqvarna社の346xpで、このチェンソーとの出会いが私を「ハスクバーナ党」にし、本格的な林業現場で長年の間私を支えて仕事をしてくれた大事な相棒となりました。きっかけは、私が炭焼きの修業時代に出会った林業家の夏目松三氏(後に地元の林業関係者の間では知る人ぞ知る伐採名人と分かる。)から「鈴木さん、そんなに山の仕事に興味があるなら俺についてまわれ。日当も払う。ただ、そのチェンソー(MS-020)では俺の現場では仕事にならんからチェンソーはハスクの346を買うことが条件だ。」と言われたことに始まる。早速、夏目師匠と一緒にチェンソー屋さんに行って346xpを購入した。その日の晩は346xpを寝床の横に新聞紙を引いて一緒に寝ました。

このHusqvarna346xpの初期型は、45㏄のエンジンで重量も4.8㎏あってずっしりと重い。これに比べるとSTHILのMS-020はおもちゃだ。エンジンも低速のタッタッタという音からフルスロットルのシャキーンという音までハスクバーナサウンドが美しい。高速域まで一瞬で立ち上がる加速とアクセルレスポンスは圧倒的だった。濃いオレンジ一色の流線形ボディーにHusqvarna346xpのネームプレートと角丸に毛が三本生えたようなロゴマークが武骨でなんともかわいらしい(※ハスク社はかつて銃を製造しており銃口と照準がモチーフらしい)。このチェンソーを持っただけで一人前の現場人になれた気がした。この初期型346xpは日本仕様だけが排気量が45㏄で重量も中型チェンソーとしては軽量だったのですが、その後、346xpNEW editionとなり排気量が50ccとなり重量も5.0㎏になった。私は45㏄の初期型346xpが一番好きだったのだが、2007年に販売中止となり、その後は泣く泣く346NEW editionを2台乗り継ぐことになる。

Husqvarna346xpNE

今では多くのプロに愛された名機346XPもとうとう廃盤となり、後継機種の550xpに引き継がれた。しかし、この550xpの評判がすこぶる悪い。実は2台目の346xpNEを購入するときも550xpが後継機として販売されていた。ハスクバーナ党の私としては当然550xpも購入対象だったのですが、先に550xpに乗り換えた仲間の評判がすこぶる悪い。それで346xpNEの在庫を探してあえて旧モデルを購入したという経緯があります。(これは正解でした。)

今、チェンソーのキャブレターの仕様がコンピューター制御のオートチューン化(ドライバーで調整ネジを回して自分で調整できない)される過渡期にあります。つまり、自分でキャブの調整ができない。販売店の修理のおじさんも手が出せないようです。キャブの調整は調子が良ければほとんど触らなくても大丈夫なんですが、これまでは自分で微調整したり手に負えなければ修理屋さんで調整してもらえば調子が戻りました。新しいキャブレターはコンピューター制御なので、調子が悪くなったらコンピューター診断して異常があればメーカーに送ってキャブレターの全部を取り換え、異常が検出されなければ原因不明のまま手が出せないという厄介なことが起きます。オートチューンが正常に機能すればコンピューターが自己診断で微調整をしてくれるのでメンテナンスフリーとなるのですが、550xpはこのあたりの不調の発生頻度が高く、最近、改良機の550xp Mark2が販売されましたが、完ぺきに改善されたわけではないようです。

現場人にとって、チェンソーの切れ味とトラブルの無さは絶対条件です。朝、現場へ行ってチェンソーが不調で使えないとなれば、その日一日仕事が出来ません。現場での微調整で解決できればほぼ問題なく、それでも手に負えなければ修理屋に走って午後からか次の日の朝までには仕事に戻らないといけません。それが、修理屋に行っても「メーカーに送らないと分かりません」とか「部品を全部交換になるので〇万円の部品代と1週間機械を預からせてください」ではストレスもマックスです。だから、今、ハスクバーナー党だった人がスチール党に支持を鞍替えする人が増えているみたいです。販売店もこの状況ではハスクの主力機種である550xpを積極的に販売できなくて頭を抱えてますし、ハスクバーナ党の私としては「頑張れハスクバーナ」と言うよりほかない状況です。

実は現役最後の346xpNEが今年になってお釈迦になってしまいました。クランクシャフトのベアリングが飛び出て修理には大金がかかるということで修理を諦めました。もう現場はほぼリタイアしているので新しいチェンソーを購入するか迷いましたが法人の共有所有のチェンソーとして代替え機を買うことにしました。しかし困ったことに550xpは先に書いた通りの状況だし、346xpNEの在庫も長年お世話になっているチェンソー屋さんにはもうない。そこでチェンソー屋さんに勧められたのがHusqvarna353である。ネットのカタログを見るとプロフェッショナルチェンソーのカテゴリーに入っているけど、ハスクのプロチェンソーの称号である型番の後ろにxpの文字はない。価格もその分良心的だ。排気量は51.7㏄で見た目は346xpNE、いや初代346xp(クラッチカバーがオレンジ色)だ。部品も346xpの部品が共用されているので346xpが部品取りに使える。キャブレターの仕様も従来型である。お店の人が言うには550xpの評判がよくないので最近はプロの人もこれを使っているとのこと。パワーも問題なさそうで、私も最近は薪づくり程度で山で使用する機会はほとんどないのでこの機種を購入することにした。持った感じは346xpと全く一緒じゃん。使う機会が減ってしまったので今はたまにエンジンかけて眺めている。やっぱハスクのチェンソーはかっちょいい。マジックで353の後ろにxpって書いておこうかな。これで「ハスクバーナ党」から離党せずにすんだ。

Husqvarna 353

コメント

  1. m.i Service より:

    はじめて、大変興味深い記事を拝見して、買うならハスクバーナの353にしようと決めました。
    京都北部でサラリーマンの傍ら放置された山の倒木や間伐などの手入れをするため信頼性が高く使い勝手の良いチェンソーを探しています。現在スチールの041を使用しているのですが、何分古いので部品を探すのが一苦労になり、新しいチェンソーを何にするかで悩んでいました。
    よろしければ、353について346との使い心地やメンテナンスなどの違いを教えて頂ければ幸いです。
    元々は550にするかスチールの261にするかものすごく悩んでいたので、両方安くない機種ですしね。山で作業出来る日がプロよりも限られた時間でしか出来ないサラリーマンは能力もさることなごらより信頼性に重きを置きます。また整備の時間もあまり取れませんので耐久性も非常に重要になります。(353のその辺が気になる所ではありますが)不調や故障の時コンピュータ制御だと手が出せませんので、アナログな機種がいいですよね。
    山に登ってて直せなかったらぶち投げたくなります。

    最後に、間伐のテクニックや山でのとんでもエピソードや記憶に残る出来事などなど記事にして上げて頂けたらと思います。

    山はいいですね、山を山の仕事を愛する先達に敬意を込めて、どうぞご自愛ください。

    • 鈴木 章 より:

      コメントありがとう御座います。
      ハスクの550xpもスチールのMS261もプロ機のフラッグシップモデルですから憧れますよね.。550xpも初期型に比べて不具合の改良がされてきているようですが、キャブレターのコンピュター制御によるトラブル時のメンテナンス性や安定性に少し不安が残ります。
      その点、ハスク353は基本的な設計が長年プロに愛されて廃盤となった346xpと同じで、346xpと共通部品も多く、最新のテクノロジーはありませんが346xpの安定感を現行機種に残した感じの位置づけかなと思います。
      私自身使っていて、今のところ大きなトラブルもありませんし重量や形状も346xpと全く同じなので、346xpユーザーには違和感なく使えますし、アナログなので従来どうりのメンテナンスが可能です。価格も550xpよりもかなりお買い得ですし、最新のテクノロジーや切削速度にこだわりがなければ、353を選択して後悔はないと思います。

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